熊本の弁護士トップ > 中小企業コラム 第13回「従業員が退職後に競争相手となることを防げるか?」

第13回「従業員が退職後に競争相手となることを防げるか?」


会社の役員や従業員が、会社を退職後、ライバル会社に就職したり、あるいは自分で同業の会社を設立するようなことを防げるでしょうか?
もし在職中に得た情報(顧客リスト)などをもとに営業をされたら多大な損害を被ることになりかねません。
退職者が同業他社に転業してはならないという義務を「競業避止義務」と言います。


日本には職業選択の自由がある訳ですから、原則としては、退職後にどの会社に再就職しようと、何の事業を始めようと自由です。
しかし、就業規則で競業避止義務を明文化したり、あるいは、労働契約に明記したり誓約書を書いてもらうなどの方法で、競業避止義務を負わせることができます。


ただし、競業避止義務が明文化されていれば、無制限で競業避止義務を負わせることができるということではありません。
余りに職業選択の自由を侵害するような内容ならば、競業避止義務の合意も無効となってしまうおそれがあります。
裁判になれば、裁判所は、競業避止義務を負う期間や場所的制限(同一市町村に限るなど)、制限の対象となる職種の範囲、代償措置の有無(競業避止義務を負う代わりに退職金の上乗せがあるなど)などの事情を総合的に考慮して、競業避止義務が有効かどうかを判断することになります。


もし競業避止義務が認められるとすれば、これに反して競業をした相手に対して、どのような対応ができるでしょうか。
まずは損害賠償請求が認められることになります。競業によって生じた損害を弁償してもらうということです。
また、競業の程度がひどい場合には、競業行為の差し止めを請求することも可能でしょう。


なお、従業員が退職後に、在職中に得た業務上の秘密(顧客リストなど)を利用して営業活動を行った場合には、不正競争防止法という法律に基づいて、営業上の秘密を利用することの差し止めや、損害賠償請求などを請求することができます。


このような状況になる前に、どのような競業避止義務を設定することが妥当か、どのような条件なら義務が有効になるかなどを弁護士に相談して、明文化しておくことが望ましいでしょう。

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