熊本の弁護士トップ > 中小企業コラム 第8回「目的達成のためにどう行動し、どう発言するか」

第8回「目的達成のためにどう行動し、どう発言するか」


普段暮らしていて、会話の中での一つ一つの発言や、日常の一つ一つの行動などをするに当たって、どのくらい、その「意味」を考えていますか。

この発言をする意味はどうか、この発言をすることで相手にどのような影響を及ぼすのか、自分にどのような影響が返ってくるのか。
この行動を選ぶことで、どのような影響が生ずるのか。人生は選択の連続であり、本当は一つ一つの言動にも意味を持たせなければならないのでしょう。

ちょっとした雑談や何気ない行動までいちいち考えてやっていられない、というのが素直な印象でしょうが、しかし、そのような言動を積み重ねる中で、自分という人間の評価が定まっていくのだし、自分の運命が少しずつ変わっていくのでしょうね。

これが日常の会話や行動ではなく、業務上の言動であれば、「いちいち考えていられない」というのは通用しないでしょう。
考え足らずの発言をして、あとで仕事が失敗しても自己責任ということになってしまいます。言葉や行動の選択を、戦略的に行っていかなければならないのです。

弁護士も交渉するときに、自分の求める結論にもっていくために、相手をどうコントロールするのか、コントロールするためにどのような方法・手順で進めるのか、どのような提案をするのか、どのような文言を用いるのか・・・など、戦略的に考えています。

企業の業務遂行も同様でしょう。業務遂行は、つまるところ、「顧客に購買行動を取ってもらう」とか「取引先に対して有利な契約内容を飲んでもらう」という、相手方の行動をこちらの望むとおりにコントロールすることに帰着します。

そのための最大のポイントは、「水は高いところから低いところに流れる」という原理を理解することです。
人間は、心理的抵抗の強い選択肢と、心理的抵抗の弱い選択肢を示されれば、当然、抵抗の弱い方を選択します。つまり、そちらに意思決定が流れるように勾配を作るのです。

そしてそのためのツールは、簡単に言えば「報償とペナルティ」、さらに平たく言えばアメとムチということになります。


例えば、Aという取引条件がこちらの希望であるとした場合、Aと代替性はあるが、Aより相手にハードルが高い選択肢Bを用意します。例えばAが一括払い、Bは分割払いだけど総額がかなり高くなる、という条件だとします。
単純に提示すると、AとBが客観的には同程度の価値になるような取引条件だと考えます(余りにかけ離れていれば、選択肢になりませんので)。
Aは一括の代わりに金額がやや低く、Bは合計額が高いけれども長期間の分割、というような感じです。

Aを選ばせるには、まず、条件を修正します。Aの金額を若干下げ、Bの金額を若干上げるようなことが考えられます。
それでも自分にとってはAの方が価値があるという範囲での修正です。これで高低差を付けて、選択がAに流れやすくします。

さらに、Aの魅力度を増しましょう。単に「AかBか選べ」というのでなく、「本来ならばBだが、一括ならばAに負けてあげる」という表現にしましょう。
これによって、実際の価値は変わらなくても、Aにプレミアムがついたような印象になります。

可能であれば、相手が第三の選択肢、つまり、どちらも選ばない(取引を断る、駆け引きして長期化を図る)という選択肢を取る可能性を小さくしましょう。
例えば、現在継続的取引関係にあるとして、相手方はその取引を清算するために違約金を支払うようなケースだとします。
違約金の金額及び支払方法について、上記のA・Bの選択肢を提示しているようなケースだと考えましょう。そうすると、駆け引きが長引く間は継続的取引が継続し、その間も月々の負担が発生していくことを利用します。
選択の期限を設定して、それまでにAかBを選べば、期限までの負担は免除するような提案をし、相手が取引から外れたり長期化を図るようなことがないように環境設定をするのです。

このように、与えられた条件を最大限に利用し、相手がこちらの狙いどおりの選択をするように、高いところから低いところへ流し込んでいくのです。

もちろん、利用できるツールが十分存在する場合ケースばかりではありませんが、目的達成のために戦略を立てて、その実現に向けての手順をプランニングし、それを実際の言動に落とし込んでいくことは常に意識していくべきでしょう。


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